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い 池戸裕子(いけどゆうこ)

「華王の犬」池戸裕子

51hwen5eml__ss500_ 「華王の犬」池戸裕子

<あらすじ>

若頭で次期組長の池神有志は、優秀な頭脳と物怖じしない度胸、そしてその華やかな容貌で「池神組に姐さんはいないが花はある」と言われ、一方若頭補佐の播磨哲明は、並外れた強さを持ちながらその激しい気性を封じ込め、池神につねに付き従う忠臣ぶりを『闘犬』と呼ばれていた。この二人がいれば組は安泰──そう思われていた中、「播磨を破門しろ」と残し組長が亡くなり、播磨自身も破門を承諾していたことを知った池神は衝撃を受ける。幼い頃から池神を守り続け、彼のために働くのが運命だと言った播磨の本意が判らず苛立つ池神だったが…。

<コメント>

みなさま、無性にクイニーアマンンとか、カヌレを食べたくなるように、無性にやくざをよみたくなりませんか?(≧m≦)

突き動かされるような衝動にかられ、アマゾンのボタンをついクリックしてしまった作品です。笑

いいですよね、若くて賢い切れ者次期組長池神と、その陰で支えながらも闘犬と呼ばれる武等派播磨。

忠実でいながら、何か狂気をはらんでいる播磨が、なんだか下克上の香をただよわせ・・

信頼を裏切られる主人の切なさと、主人を独占したがる狂気。

ぐだぐだとした説明はなく、最初から、やくざ世界がいっきに繰り広げられ池戸シノギワールドにぐいぐい引き込むあたり、さすがベテラン作家さまです。

ハードボイルドな風が吹き荒れますので、真昼の月のような甘いやくざものがお好きな方にはちょっと・・かもしれませんが、狂気と緊迫感がお好きな方には、たまらない展開かもしれません。

しかしながら・・終盤まではいい感じだったのですが、あれ?あれ?というちょっとしりすぼみな終わり方。

前半の池神と播磨の緊迫感あふれる関係や、中盤の崩れだす関係のまえに呆然とする池神と、本性をさらけ出し勢いづく播磨と、もう腐女子の心をむんずとつかんで、ドキドキさせていただきましたが・・

すとんとあっけないほどお互いが理解しあって、終わってしまいました。

もっともっと、葛藤する播磨と池神をみていたかったのです。。(-"-)

おいしいものは、あっという間になくなっちゃうんですよねぇ・・。

「特別室は貸切中」池戸裕子

31799955 「特別室は貸切中」池戸裕子

<あらすじ>

別れたはずなのに、なぜ何度も俺を抱くんだろう。倒産寸前の老舗旅館を継いだ憲之(のりゆき)の元を訪れたのは、昔の恋人・葛西(かさい)。葛西は凄腕プランナーで、依頼もしていないのに、旅館再建のためにやってきたのだ。一方的に別れを切り出した葛西を、いまだに忘れられない憲之。「遊びだったら付き合ってやる」葛西は冷然と言い放つが、その瞳は何かを隠しているように苦しげで…!?

<コメント>

特別室っていうから、学校の話かとおもいました。

特別室→特別教室→美術室→ヌードモデル→うだつのあがらない教師に襲われる

われながら、飛躍した妄想にあせりました。(((;-д- )=3ハァハァ

いえいえ、違います。老舗旅館のお話です。笑

池戸裕子先生、大御所なので安心してよめます!はじけたBLに疲れた時には、この落ち着いた文体が心地いいんですよねえ。

突然父が倒れ、旅館を継がなければならなくなった憲之。大学も中退し、仕方ないとあきらめながらついた仕事なので、傾きかけた旅館を建て直すのは難しく、そんなときに旅館再建のためにやってきた葛西。

分かれた恋人のはずなのに、時々熱い視線をなげかける葛西がどうもつかみ所がなく憲之を不安にさせます。

混乱はしますが、そこは根が素直で純情な人間なので、出来ることを一生懸命にしようという旅館再建と同じく、自分の気持ちを傾けようと葛西を想う事をやめません。

最初は倣岸な奴だと思っていましたが、葛西の孤独で愛に飢えた生い立ちを知るとああ、彼には旅館再建に力を貸すという形の愛情表現しか出来なかったんだなと納得がいきます。

旅館の座敷童子伝説をテレビで面白おかしく扱われ、旅館に被害がでるあたり、どうなることかと気をもみますが、葛西の力を借りず、憲之が旅館のスタッフと協力しあって乗り越えます。

庇護されるだけでなく成長する姿がすがすがしく、すっきりとした読後感のある作品でした。

「夜叉と獅子」池戸裕子

51ghcxbhbrl__ss500__2 「夜叉と獅子」池戸裕子

<あらすじ>

彫師の祖父の死後、跡を継いだ和久(わく)は、ヤクザの若頭・島津の刺青を手掛けることに。同時に島津から後ろ盾の申し出を受ける。しかし、密かに島津に憧れを抱いていた和久は、囲いものになるのが嫌で辞退する。そんな時、「刺青の図案に必要なデッサンがしたい」という和久の要望に、島津はなんと男とのセックスの現場を見せ付けてきた!?
動揺の中に嫉妬と欲情の兆しを見抜いた島津に、和久は巧みな手管で篭絡されていき…。

<コメント>

池戸さんといえば、お貴族さまやお医者さまというセレブなイメージがありますが。。

今回は、ダークです。ヤクザと彫師でっせ。

しかもタイトルは「夜叉と獅子」そのまんま東映仁侠映画のタイトルになりそう・・

インテリヤクザっていうより、鶴田浩二とか高倉健ですよね。。(T_T)

もう期待しながら、ページをひらくと・・おおー彫師視点だよ。。しかもこの彫師、背中フェチで、刺青フェチときて、刺青と聞いただけでずくりと背筋に喜びが走るちょっとあぶない主人公。

刺青を入れる針の感触が好きで好きで・・最後のほうは、墨を入れられるのも好きな変態君と判明しますが。。笑

でも和久、一途です。島津をすきになってしまい彫師としてのプライドも、何もかも捨ててもいいと言うほど好きになる分、相手にも同じだけすきになってほしいという、夜叉の一面をもっている自分に怖くなり、島津の元を去ろうとします。

自分のすべてを捨ててもいいほど愛している・・うううう、東映仁侠映画というより、大映映画っすか?

針をさす痛いシーンのはずなのに、和久の刺青に対する執着から、なんとも官能的なシーンにすりかわってちょっといたいのが苦手な方にもいけるのではないかという仕上がりです。

どMのはるとしましては、最後和久が刺青をいれられるシーンをもう少し引っ張ってほしかったかも・・ページの都合もあるでしょうが、最後ちょっと走ってるのが残念かな。。

痛さもあり、Hもありの「痛いH推進委員会推薦図書」と認定させていただきます!(・ェ・)ゝ”

「オアシスの檻」池戸裕子

Photo_154 「オアシスの檻」池戸裕子

<あらすじ>

繊細で潔癖な美貌のライター・三春宏紀は、謎の作家・浅倉雅人の秘密を暴くため彼の秘書で弟・往彦の下で働くことに。
一切姿を見せない雅人を訝しみながらも、野生の獣のような往彦が隠した、深い優しさに惹きつけられていく。そして往彦から向けられる欲望を剥き出しにした眼差しは、三春の身体に秘められていた淫らな欲望を暴き始め…。
複雑に絡み合った兄弟の絆が、いつしか三春を禁断の檻にいざなっていく―妖しく美しいミステリアス・ラブ。

<コメント>

椎崎夕さんに「優しい檻」ってありましたよね。形容詞と、そのあとの名詞のイメージの違和感が、なんだか魅かれるタイトルでしたが・・・

こちらもオアシスと、檻という合反するものを並べてます。きっと狙いは一緒でしょう。笑

檻といえば、監禁とか陵辱とかのお約束を密かに期待して読み始めましたが・・ありませんf^^;)

二階から決して降りて来ようとしない謎の二重人格作家である兄の「浅倉雅人」も怪しいですねえ。しかも、監視カメラで階下の様子を監視しているらしいから筋金入りです。

弟往彦が何にとらわれているのか、それは物理的な物だけでなく精神的にも兄にとらわれているわけですが、その謎解きの面白さもあります。

兄雅人が、次の作品を書くためにノンケが男に堕ちて行くさまが見たいという願いから、往彦は三春に迫っていきます。往彦の心優しさにひかれていた、三春も断れず。。

尊敬する雅人の存在も気になるし、そんな風に始まった関係なのに、やっぱり往彦は優しくて心が揺れる三春。

ゆがんだ野獣兄弟の関係から、往彦の望むまま救い出そうとしますが、長年檻だと感じていた住処を離れ、だんだん元気のなくなる往彦。

三春を守りたいと思っていたのに、足手まといでしかないという現実をつきつけられ・・往彦、雅人の謎が解き明かされていきます。。あんまり書くとネタばれしそうなのでこのあたりで。。(´ヘ`;)ハァ

作中で登場する森を題材にしたファンタジーは、なかなか雰囲気がいいんです。

まさか池戸さん、秋月こおさん(皆さまご存知でしょうが、たつみや章という別PNで活躍中)のように、ファンタジーでも一発当てようと思ってるんでないですか?笑

池戸さんの野望を垣間見たような気がしました。。

しかし表紙の二人・・なぜに木陰で裸?

「二響螺旋/愛と熱情のアリア」池戸裕子

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「二響螺旋/愛と熱情のアリア」池戸 裕子

<あらすじ>

天才的な声を持つ端麗なソプラニスタ・槙一洋は、残酷に自分を捨てドイツに留学した恋人・岸本恭輔の記憶に囚われていた。声楽を通じて互いの才能に嫉妬し憧れるがゆえに、いっそう愛しいと焦がれる絶対の絆。そう信じていたからこそ深く傷ついた槙は、左手に癒えない傷痕を抱え続けていた。そして5年振りに岸本と再会する時「おまえは逃げたんだ」と、槙の抑えていた愛と憎しみが溢れ出し―!!螺旋のように絡み、高め合う珠玉の愛。

<コメント>

池戸さんに、やられました。佐々木久美子さんの素敵な表紙についふらふらと手にとって買ってしまったら・・

がつんとやられました。すごい愛憎劇でした。

オペラ歌手の話です。

天才ソプラニスタが恋人に一方的に別れを告げられ5年。その彼が日本に恩師の退官公演のために恋人のピアニストを伴ってかえってくるところから話が始まります。

別れを告げられ、自殺未遂にまで追いつめられたほど愛していた男が帰ってくると知り、主人公は復讐のため相手のピアニストを奪おうと画策します。

捨てられたという憎しみと岸本を忘れられない悲しみが、からみあい、なんだか豪華な二時間スペシャルドラマをみているような愛憎劇です。うまいです。池戸裕子さん。

期待していなかった(ごめんなさい!)分、読後は、「おおー」って感じで。(どんな感じだ、^^;)

岸本が不器用なんです。(笑)諸悪の根元は、すべてこれ。

こつこつと努力して苦しみながら現状を手に入れた岸本、不器用だから、槇を愛し続けながら、歌を極めることができなかったんですね。

そんな岸本の事が理解できない天才槇。

復讐のため岸本のことはわすれたという振りをして、誰とでも寝られる事ができるようになったと岸本を誘います。

槇より歌を選んだというのに、まだまだ未練が残っていた岸本は、ほいほい槇の奸計にはまってしまって・・

槇にふりまわされ、おいつめられ、岸本はぼろぼろになり、歌えなくなってしまいます。槇としては、復讐なんですから無事目的を達成したわけですが、後味の悪い想いにさいなまれ、後悔し始めます。

槇を捨て、歌をとったはずなのに、その歌さえ取り上げられ追いつめられる岸本。

どうなるんだ、この二人と最期まではらはらどきどきさせられます。

槇を選ぶ“ふり”をして、岸本に本心を気づかせる役回りの、ピアニスト結城がすごくいいですね。自然体で、岸本や槇のぼろぼろに疲れた心をいやしてくれます。

二人どちらからも求められたのが納得いきます。

ラスト、いつも自分のレベルにはい上がってくる事だけを要求していた天才槇が、かわいらしいところをみせてくれます。

まあどうかわいらしいかは、読んでみてください。(^-^)

アマゾンでは、~愛と情熱のアリア~とタイトルを間違ってましたねえ。「情熱」でなく、「熱情」です。

どうして、熱情にしたのかは、作者にきいてくださいね。

「僕は君しか愛せない」池戸裕子

Photo_105 「僕は君しか愛せない」池戸裕子

<あらすじ>

高3の立花真里は、27歳の俳優・唐沢龍司の弟役のオーディション会場にいた。女性誌で、2年連続抱かれたい男No.1に輝いた唐沢はフェロモン系でワイルドなところが人気だが、真里は彼が大嫌いだった。不誠実なやつだと思っているから。おまけに、友達につきあって会場にきただけで芸能界に興味がない。そんな真里の評判はやんちゃ系イケメンと、学校では人気者。そして真里の意地っ張りなところが気に入った唐沢の一言で、弟役は真里に決まる。オレ様な唐沢の世話をしながら、弟役の演技に深みを出すため、2人は同棲することに。やたらとスキンシップを仕掛ける唐沢に真里の心と身体は…。火遊びに本気が混じる危ない恋。

<コメント>

小学館パレット文庫、池戸裕子第二弾!

「僕らはキスからはじめよう」と同じく紺野けい子さん表紙ですが、関連はありません。でも、主人公は高校生で、ういういしく初めての恋に翻弄されるところは、とても雰囲気の似た作品です。

「僕らは・・」が良かったと思う人は、こっちもOKのはずです。

真里(まさと)は、友人に引っ張られて唐沢龍司の出演する映画のオーディションに。審査員である龍司が嫌いで、監督や龍司にずけずけと役の不満をぶつけると、逆に気に入られてしまって、オーディションにうかってしまいます。

監督、そんな簡単にきめちゃっていいんですか~?同級生といえ、ひとりの役者の言いなりでいいんですか~?

ってまあBLファンタジーでガラスの仮面ではないのですから、難しいことはいいませんが。あっさり決まって、あっさり龍司の付き人をしながらの同棲生活です。

龍司の好みだったからこの配役にしたのかとおもえるぐらい優しくて、真里は、知らなかった龍司の気さくな一面をみつけ、だんだんと心が引かれていく。

そんなはずはないと、自分の気持ちに向かい合えずくるくるする主人公のういういしさがいいですね・・

高校生なりに一生懸命で。

監督がどうも中途で邪魔をいろいろ仕掛けてきたのはなぜだったのでしょう・・??

監督も真里が好きだからという「おち」はないんです。逆に監督に、もっと恋愛感情で入れ込んでほしかったですね。

龍司も嫉妬にくるって面白かったかもしれない。真里と監督との中を怪しんで、映画の撮影に集中できず、監督が龍司をみんなの前で叱責するなんてのも、見てみたかったかも・・

でも、そうなると文庫一冊では納まらないか。。笑

「僕らはキスからはじめよう」 池戸裕子

Photo_104 「僕らはキスからはじめよう」 池戸裕子

<あらすじ>

『夏休み限定で俺と遊ばない?』賑わう夏の海で、失恋の痛手に一人ポツンとしていた高2の藤谷和弘は、掛けられた声に耳を疑った。声の主は相当の男前、17歳の二ノ宮達也。男からのナンパに驚いたが夏と失恋が和弘を奔放にさせ、達也と和弘のひと夏の危ないゲームが始まった。二人は時間を見つけては、たくさん遊び歩いた。とても気が合った二人は、そのうちゲームセンターや駐車場で隠れてキスやいろんなことをしてみたりもした…。そして夏の終わり。和弘の心は達也一色に染まっていたのにゲームオーバー。二人は二度と会わなくなるはずが…。遊びのつもりがいつしか本気に。

<コメント>

小学館パレット文庫です。おこちゃま仕様です。しかし、中学、高校生の頃の甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれる素敵な作品にしあがっています。

引かれていく気持ちと、自分たちは男同士だろうっていう戸惑いにゆれる和弘もいいし、ナンパキングのはずなのに、和弘のことが大切だとさりげない言葉やしぐさににじみ出ている達也もいいし・・イエイ、青春万歳って感じです。

大人のみなさん、パレット文庫って普段はスルーしてますよね。まあ、少年少女向け、もしくは小学生向け?(笑)って思い込んでいましたが、よかったですよ。

紺野けい子さん表紙買いでしたが、いいです、もうすごくいいです・・・今のところ紺野表紙買いで、はずれなしですねええ。。

池戸作品も初めてだったのですが、丁寧な作家さんでした。ありふれた日常のシーンが続きますが、飽きさせず、それぞれが雰囲気のあるエピソードに仕上げてあって、もどかしいこの2人が、この後どうなるのかとどんどん読み進めてしまいました。

握りしめた手のひらとか、絡める指とか・・恋愛を始めたばかりのういういしさが、なんともいいですねえ。。悩める17歳!ときめきがいっぱいのスローラブでした。

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