「ホタル」綺月陣
<あらすじ>
2丁目のデートクラブの売れっ子高校生・ユウと、その客となることでしか心を癒せない離婚歴のあるサラリーマン・孝輔が恋に落ちた。しかし二人を待ちうけていたのは、衝撃の事実が明かす苛酷な運命だったのだ—。一途なユウを愛しいと思いながらも、もはやその手を突き放すことしかできないのか…。
<コメント>
高松でうーさんちでお借りして、あまりにスキャンダラスなストーリーにくるくる寿司の待合で一気に読んでしまった作品です。
親子を扱った、なかなか重たい作品でした。
孝輔は、妻にも逃げられ職場でもさげすまれ、その鬱憤晴らしのために月に一度出張デートクラブで、一人の少年を買います。
売れっ子のはずのユウも、孝輔に懐いており、いつしかお互いを求め合うようになります。
売春のつきあいが、本気の恋に発展してというだけで、すでに切なくて苦しい話なのに、ここに作者ご自身の葛藤が反映されるのです。
孝輔だけが、ユウが自分の息子(離婚後あわせてもらえずわからなかった)だと気付き、あまりの罪悪感にユウを退けようとします。しかし、真実をしらないユウは、突然冷たい仕打ちをする孝輔にすがりつきます。
事実を知っても親子だろうが、この手は離さないと強く求めてくるユウに、孝輔もユウのために身を引こうとしていたことを告げ、その手をとる決心をします。
あとがきを読んでいたので、親から愛されたい、手を取ってほしいというユウのすがるような感情が、作者のそれとだぶって何ともいえない痛い作品でした。
そのまま別れを選び悲劇で終わらせることもできたろうに、やはり作者は孝輔にユウの手をとることを選ばせます。
あとがきに書いてあるのですが、作者も、幼児期に父親の暴力や母親の言葉の虐待をうけたことがあるようです。この話を書かずにはいられなかったとありますが、作者はこの作品を書くことで救われたのでしょうか。
孝輔やユウの幸せだけでなく、作者の幸せも祈りたくなるような作品でした。
古い作品ですが、綺月先生の作品への見方が変わる作品ですよ。
是非探して、読んでいただきたいです。
| 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)




最近のコメント