「サニーサイド」朝丘みなぎ
<あらすじ>
ある日、上司との痴情のもつれから殺人を犯してしまう水川。必死でしがみついてきた輝かしい人生からの、突然の転落。あげく、逃亡資金を確保しようと立ち寄った銀行で強盗事件に巻き込まれ、人質に取られる始末。しかもその犯人は、なんと十年間音信不通だった同級生、かつての親友であり、想い人でもあった相良一平で…。
<コメント>
レアです。とっても、レアです。
独特の雰囲気の名作BLコミック「パセリ」の作者、朝丘みなぎさんの書いた小説です。これ一つしか出していないはずです。
「パセリ」(ご存じの方も多いかと思いますが・・)付け合わせの「パセリ」のような目立たず自分に自身のない男子大学生が、よった勢いで何でもそつなくこなす同級生と寝てしまい・・ありふれた出だしですが、とても切ないコミックを描いた彼女です。
コミックと小説と二足のわらじの作家さんは、往々にして小説はつまらなくってどっちかにしろよって突っ込み入れたくなるのですが、朝丘さんは違いますよ。
小説の人の動きがすごくわかりやすくて、そのまま映像になって出てきます。しかも無駄がない。残念です。これ一つというのが・・
さてお話ですが、いい家庭で、こうと決めた枠でしか物事を見ない母親に逆らうことが出来ずひたすらゲイであることを隠していた水川。しかし殺人がきっかけで、両親の決めたレールからおり、自由をはじめて感じながら逃亡するあたり・・悲しいです。
銀行で高校のときに告白してしまった相手、相良に会い切羽詰った空間の中で、離れていた時間がお互いを成長させていたことに気付き、高校生の時と違った関係を築くことが出来るようになり・・
ネタばれしたくないですね・・ラスト、破局にむかうのか、二人の未来は訪れるのか・・読んでみてほしい作品です。
相良の視点の書き下ろし短編が付いています。ゲイということを知られたくなかった水川の張り詰めた表情が密かに好きだったとつぶやいています。相良君も、いい奴だよなぁ・・。
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