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す 鈴木あみ(すずきあみ)

「はいまーとろーぜ」鈴木あみ

Photo_40 「はいまーとろーぜ」鈴木あみ

<あらすじ>

流刑島―。チュールが浜で助けた美しい青年・レイはその頭脳と力で島での権力を手に入れる。「俺にできないことは、何もない」と事もなげに言うレイの目的は、島を脱出し都に戻ることだった。「おまえも一緒にこい」と言ってくれたレイ。でも彼には都に想う女がいる。チュールは気づいていた。泣きたいくらい、優しく強い気高いこの男を愛し始めていることに…。

<コメント>

変なタイトルに、猫っぽいイラストに・・手元にあったのですが、ずっと未読でした。

しかし、面白かったんです。全3巻、流刑編、宮廷編、傾城編と一気に読んでしまいました。話の展開がテンポよくて、あとがきに作者も書いていましたが、まるでジェットコースターです。

昔、少年少女向けとしてNHKで夕方放送されていたドラマのように波乱万丈なんですよ。

「時をかける少女」とか、「岩窟王」とか、「謎の転校生」あんな感じ。そういえば・・萩尾望都の「11人いる」もNHKでドラマ化されましたよね。覚えてます?皆さん。笑

皇女のおむこになるはずのレイは、陰謀にまきこまれ王暗殺未遂の汚名をきせられ罪人として流刑に。しかし、もって生まれたリーダーシップを発揮して船をつくり、島の隠し財宝をぶんどり脱出します。

変装して都に潜入し、いつの日にか自分を罠に陥れたい友人(彼も皇女のおむこ候補)に復讐しようと暗躍するのですが・・

レイが野望に燃えれば燃えるほど、レイを愛しているチュールは彼の汚れていく様がつらくて、それでもレイのために何かしたいと一生懸命で。

チュールはおばかで、のほほんと単純で、お子ちゃまで、でもそこが憎めません。レイもそんなチュールの純真さにほれていて、2人の間を邪魔させないために必死でどうな手を使ってでも王座を奪還しようと人が変わったように邪悪です。

王座につくためには、皇女との結婚が必要で、チュールにはそれが耐え切れずレイのもとを何度も逃げ出します。しかし、離れてしまうとあいたい気持ちが心にあふれ、レイを探して・・

レイの逆鱗に触れ断頭台に送られたり、敵の捕虜になり拷問されたりと、チュール痛い目に会い続けですが、チュールの体へのダメージの割には、本人のほほんとしてるので、読み手へのダメージはそれほどでもありません。(じゃなきゃ気分がおちこんで、読みきれなかったよう・・)

本当にジェットコースター状態でした。

レイがチュールの墓をほって、チュールのなきがらを抱きしめるところ・・一番すきかも。

仲間によって断頭される前に助け出されて、そのなきがらは偽者なのに、もう腐りかけて顔の判別もつかなくなったなきがらを抱きしめ慟哭しているレイ。王座に近づくほど、周りの人間を信用できなくなりどんどん孤独になっていくレイ。最愛の人までうしなってしまったと深い悲しみに包まれるところがなんとも切ないです。

表紙でドン引きせず、古本屋にあったら、是非手にとって読んでみてください。

「純愛心中」鈴木あみ

Jyunnai 「純愛心中」鈴木あみ

<あらすじ>

システムエンジニアとして実力をつけてきた遙に本社から派遣されてきた上司がつくことになった。だが、やってきたのは高校時代の友人・一馬だったのだ。全寮制の学園でのルームメイトであり夜ごと抱かれてもいた相手と上司と部下として再会したことが、遙の胸を掻き乱す。上下の一線を引く一馬に意地になって反発する遙だが、そんな遙に一馬は執着しているようなのだ。ある夜、一馬に強引に抱かれそうになった遙は…。

<コメント>

今時の鈴木あみ作品と違い、まじめな(ファンの方すみません)作品です。

お金持ちでIQも高くて、勉強なんか寝そべって斜め読みして満点を取る、しかも背も高くて女に持てるハンサム。何をさせても並ぶものがないという一馬に、対応意識を燃やしていたはずが、いつの間にか一馬のことが気になってばかりいて。

女遊びをしていたのに、また求められる関係に嫌気をさし、卒業を機に北海道に逃げだした遥だったが再び出会ってしまし、惹かれていた気持ちが再燃し。

よくあるパターンですが。一馬の強引さの裏に見え隠れする遥への欲望が、いやらしくていいですね。笑

遥はというと、女のように扱われることに、プライドが傷つけられます。自分の上司で、本部勤務というやはり自分の前をあるく一馬という存在が、恋人という立場に甘んじていられなくするのです。

たしかに男同士のカップルで、しかも同じような仕事をしていたら、やっぱり仕事ができる男かどうかの評価って気になるでしょうね。男同士の力関係って拮抗しているような気がします。ある程度年齢が離れていれば庇護したり依存したりという力関係が、すんなりお互いのなかで成立してスムーズでしょうが。

男女でも、一応男にイニシアティブ持たせてあげようってところがあるでしょう。こういう点では男同士って難しいかもしれない・・などと、妙に分析しながら読んでしまいました。

後半一馬が弱音をはいたり、遥に自分と家族とどちらをとるとせまられ、絶句するあたり、弱いところをさらけているのが、なかなか可愛かったです。

弱い一面をみせられ、はじめて対等になれた遥。大人の男の余裕で、ラスト一馬を海外へ送り出します。

遥との関係が会社や、母親に知られて別れることを迫られた一馬。しかし、悩んだ末、遥とは別れられないと大会社も家族も大金も地位もすてて二人で逃避行するくだり。

はるとしては、あのまま北の海に身を沈めても一向にかまわなかったです。なんていっても純愛心中ですから、、期待しちゃったじゃないですか。

「他愛」鈴木あみ

Taai

「他愛」鈴木あみ

<あらすじ>

研修医の彩は、院内で起きた薬剤盗難事件の犯人として濡れ衣を着せられるが、カウンセラーの渚によって助けられる。彩と渚が初めて出会ったのは、ニューヨークの地下鉄内でのこと。彩が痴漢にあっていたところを助けてくれたのが渚なのだ。しかし、猟奇的な一面を持つ渚に、その後、彩は無理やり犯されていた。そんなことをされたにもかかわらず、危険な香りのする渚に、彩は惹かれずにはいられなくて―。

<コメント>

初出は雑誌で、2000年9月にノベルズに、その後文庫化されて少しずつ手直しされ、作者も納得いくものになったと自負されている作品です。

最近の鈴木あみ作品を期待したならば、暗いと感じるはずです。作者もいっていましたが通常ならストーリーを練ってから肉付けするのに、これはキャラから始まってしまたっといわれ、ストーリーもこのままどうなるのと、こちらもはらはらさせられるくらい刹那的なエピソードが続きます。

明るいBL社会には、うけいれられない類かもしれません。だって、攻めの渚は、愛を理解できない人間なのです。

ただ寂しくて愛をしらないというのではなく、脳の機質的な障害による人格障害なのです。受けの彩(あや)は、彼を愛していると何度も訴えますが、愛をしらない渚に、それを証明させられるかのようにひどい扱いをうけます。

私、一人っ子です。兄弟がないので、兄弟に抱く感覚が理解できません。盲人の方に色を説明しても、見た事がないなら理解できません。それと同じですね。ないものは、ないのです。

残忍でひどいだけではないです。渚は、優しくすることはできます。それによる見返りがあることを知っているからです。見よう見まねで愛している振りをできても、それを裏打ちする心情を理解できないのです。

それでも終始、愛しているとすがっていく、この受けはエライ・・かも。

家族も同僚も、仕事も、自分を慕ってくれて助けてくれようとする刑事さえすてて、渚を追いすがってしまうのは、何故?

これは愛ゆえの行動?愛ってなに?

マジで、この作品を読み終えた後に、「愛するってどういうこと」って、自問自答してしまいました。

自分を守って大切にしたいという気持ちは本能ですが。。では他人を愛するってことは、見返りをもとめる自愛の裏返し?

相手から何も帰ってこなくても、愛し続けるのって、押し付けの自己満足?

本当に心って複雑です。

「無償の愛」なんていう美しい響きに酔いしれているただの、自己陶酔かと作中の彩も何度も自問します。

彩と渚の出会いも何度か彩が渚に助けてもらったことだが、それも助けてもらったという安堵感が愛にすりかわっただけではないかと、渚の受け持ち患者が、カウンセリングの間に渚に愛情を抱き始める様子をみて、自分とだぶらせます。

是非みなさんも、一読ください。一緒に愛について考えましょう・・(新興宗教かいっ)

恐るべし、鈴木あみ・・あの有名な鈴木あみ遊郭話、まるで明治時代のような遊郭を現代によみがえらせたあたりは、ちょっと変わった人だと思っていたが、ただも変わり者ではなかったようだ・・・見直しました。

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