「モルグの番人」今城けい
<あらすじ>
知り合って10年。ただ1度の例外もなく再会のたびに須賀を凝視するのは、IQ200の麗人・柳。新聞社で死亡関連のデータばかりを扱う特殊な部署、通称『モルグ』に勤める少々奇矯な男である。その柳を滅私盲愛し、献身的に支える須賀は雑誌記者だ。そんな二人が、ある日、手違いでモデル売春の副産物である1枚の裏AVを入手して…。非道な事件の解明とともに、10年間友人を貫いてきた二人の、互いへの妄執と独占欲が暴かれる!排他と包容―究極のオンリーワン・ラブ。
<コメント>
モルグとは、屍体置場という意味ですが、警察の屍体安置所というイメージがあって、タイトルだけで推理小説だ・・と引いたんですが。。
美しい表紙に助けられ、読んでみたら、これがまた、すごく面白い(≧∇≦)!
タイトルのおどろおどろしさに、負けずに是非読んで欲しいとおもいます!
モルグには、「屍体置場」の他に、「新聞社の資料室、調査室」という意味もあるそうで、この作品では、モルグは後者の意味でした。
そう、新聞社の資料室に勤める美青年柳が、とても魅力的なキャラクターなのです。
雑誌編集に携わっている主人公須賀が、盲愛している美青年柳。
彼はIQ200ですが、一般人とは大きくかけ離れたところがあります。
一度見た物は忘れないかわりに、人の感情の機微がよく理解出来ないという一種サヴァンです。
作品のなかには、自閉症や、サヴァンという単語は一切でてきませんが、柳の人物像は、まさにレインマンに登場するレイモンドのようで、「いつもと異なる」ということを非常に嫌います。
須賀は、そんな彼を恐がらせないように、高校生のときから慎重に柳を守ってきました。
いつもと同じという安心感を与えるために、彼に好きだと告白できず、触りたいという感情を押し殺して、柳の側に居ようとします。
くー切ないですねぇ・・須賀君!
須賀の柳を大切にしたいという気持ちは、柳にもつたわっているのですが、この柳の須賀への愛情表現がまた、わかりにくい。f^^;)
須賀にさえ、うまくつたわっていないぐらいですから・・( ̄Д ̄;;
でも、ページをすすめるにつれ、須賀への好意、愛情を、柳自身でも理解出来ないということがわかります。
好きだという感情が、「好き」だと実感できない柳の悲しさ、不器用さが、痛々しくて、須賀といっしょに、柳を愛おしく感じるようになります。
事件解決というのは、この場合二人の気持ちを確かめ合うための、サイドストーリーでしたが、事件解決のために、柳のみせた底力のすごさもまた、読者を(ノ゜⊿゜)ノびっくり!!させます。
柳と庸一という魅力的なキャラクターと、流麗な文章、緻密な心理描写。
どれをとっても絶品でした。
是非シリーズ化して、またこの二人の活躍をみたいものです。
柳と庸一の高校生のときの出会編、庸一視点のSS「A boy meets a…….」というおまけSSをアップしてくださっていますので、興味のある方は読んでみてください。
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