「オールトの雲」一穂ミチ
<あらすじ>
お姫様のような母親と一緒に太陽の前に現れた小さな王様―それが、流星だった。外国の血を引く繊細に整った容貌と、誇り高くまっすぐで、嘘やごまかしのない性格。そのせいで周囲から浮く彼をほうっておけず、いつだって側にいた。けれど、部活の合宿先で偶然会った流星は、太陽が知らない顔をしていて…。闇夜に迷う心を照らす、一等星の恋。その後の二人を描いた書き下ろし「真夜中の虹」も収録。
<コメント>
おだママさまから借りちゃいました。ありがとうございます。
「雪よ、林檎の香のごとく」でこまやかなでセンシティブな文章を披露し、一躍人気となった一穂先生の、第二段作品です。
デビューが鮮烈であっただけに期待も高く、なかなか大変だったと思いますが、期待にたがわないやさしくて切なくて、暖かい作品が生まれました。
初めてあったときから、その繊細で誇り高く嘘やごまかしを嫌う少年「流星」に心惹かれる太陽です。
「小さな王様」と称していますが、チャラチャラした王子様キャラでないので、嫌みなところがありません。
一度に恋に落ちる情熱的な物語もいいですが、相手を大切に思い大事にはぐくんできたきもちも、温めてきた時間が長い分、読者をひきつけます。
幼馴染で、流星の一番近いところにいたとおもっていたけど、違う高校となり流星には流星なりの生活があると実感し、はじめて流星への思いに気づく太陽。
大事にしている流星というお宝の価値を他人にもわかってもらえるうれしさと、同時に自分だけが流星の良さを分かるのではないという失望と・・
太陽がまっすぐな青年なだけに、自分の中の嫉妬やねたみ、流星への独占欲に気付いた時には唖然とし、自分を嫌悪してそれが流星への後ろめたさとなり・・
ちぐはぐとした気持ちに翻弄される高校生太陽がとってもいいです。
ずっと一緒にいたいけど、流星のために父親のところに行かせる言葉を滂沱の涙とともにはかせるクライマックスは、胸にずーんときました。
悩み成長する少年たちの切ない物語・・鼻をすすりながらじっくり読んでいただきたいとおもいます。
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