「海に眠る」葛城ちか
<あらすじ>
公衆トイレの片隅に、へその緒をつけたままで捨てられていたリュウは、虐待に耐えかねて孤児院の牧師を虐殺し、逃亡する。親の愛さえ知らず、あまりにも孤独で、十六年のリュウの人生は暗闇も同然であった。しかし逃亡中に出逢った一人の青年が、リュウの運命に光を与える―。
<コメント>
昭和の香りなつかしい、耽美小説を精力的に復刻しているKAREN文庫です。
いまさら耽美かよって、初回配本時には買わなかったのですが。。だんだん気になって・・うずうず・・(つω`*)テヘ
読むたびに涙すると噂のある「海に眠る」を買ってしまいました。
ページを開くと。。そうそう耽美ってこういう香りよねぇと、懐かしいです。
独特の耽美の文体です。携帯小説世代にはまどろっこしいかもしれないですが、静謐で、しかも泥臭さとあざとさも同居し独特の世界を醸し出しています。
そしてエンディングが、一般的なハッピーに収まりきらないというのも、特徴かもしれません。「ある意味、二人にとってもこれは幸せだよねえ。。」と自分に言い聞かせながらのエンディング。(笑)
この「海に眠る」もこの法則を踏襲していますよ!
主人公リュウは、ゴミ箱に捨てられて愛を知らずに育ちました。施設内でも性的な虐待を受けていたため人を愛するという気持ちが理解できません。
そして殺人事件を起こし、食料やお金を奪いながらの逃避行。逃亡にも疲れ海辺の町にきたとき、偶然同じ施設にいた祐介に巡り会います。
心臓が悪く義父に囲われている祐介。
義父の生活を壊したくないと一人海辺の町で死ぬ瞬間をまつ孤独な祐介が、リュウを育てたこともあり、匿うことになります。
二人きりの密かな暮らしは、いつまでもは続かず迷惑を掛けたくないとリュウは祐介の元を出ていくことに・・祐介もまたあれほど慕っていた義父との生活を捨ててもいいとまでリュウのことを思うようになりリュウを追いかけます。
あまりに悲痛なラストに、やりきれなさを感じるかもしれないですが・・これが「耽美」です。(。-∀-)ニヒ♪
ハッピーエンドマニアの皆様、耽美はこういう物だとあきらめてください(ノω`)。
一話は短いので、ちょっとだけ“大人のビター”の苦い余韻を味わってみてください。
同録されている「思い出させてあげよう」「さよならは言わない」もせつないです。
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